2-3.放銃は悪じゃない
麻雀は基本的には点棒を集めるゲームだ。
点棒をかき集め、それをゲーム終了時まで保持し続けるゲームだ。
そのためには、「和了」は正義で「放銃」が悪、というのは、誰しもの信じるところだろう。
実際、「和了」をできずに、「放銃」を続ければ、点棒は0になり、トビという結果が待っている。
だが、麻雀における正義は、決して「和了」なんかではない。
正義は、常にトップを取ることに違いない。
つまり、トップのための「放銃」もまた、正義たりえるということだ。
分かりやすい例を挙げれば、「差し込み」が、トップのための放銃といえるだろう。
オーラス、以下のような点棒状況だったとする。
東家:40000点
南家:60000点
西家:15000点
この状況下、東家は南家に満貫直撃、もしくは跳満ツモで逆転することができる。
南家はそうされないように、局の消化に努めなければならない。
もちろん、最高の局回しは、自分自身で和了ることだが、もちろん、西家の和了でもゲームは終了する。
だから、もしも西家が先んじてリーチをかけてくれたなら、願ったりかなったりだ。
この時、西家のリーチに対してベタオリをするのは、実はあまり上策とはいえない。
ぼやぼやしている内に、東家のリーチが入って、ツモ和了ってしまうかもしれないからだ。
多少の素点や祝儀を支払うことは度外視し、さっさと差し込みに行くのがいいだろう。
オーラスのような差し迫った状況ならば、他家への放銃がトップを取る上で大いに価値があることもわかりやすいが、
もちろん、他にも、放銃に価値がある局面はたくさん存在する。
特に、子への放銃というのは、親の連荘や和了を阻止することができる。
東三局、以下のような点棒状況だったとする。
東家:18000点
南家:46000点
西家:41000点
という状況で、西家からリーチが入った。
これに対して、南家が取れるリアクションは、ベタオリか全ツッパのふたつの選択肢があるが、
基本的にはオシ得であることが多い。
満貫、跳満程度が見込めるイーシャンテンなら十分に押すべきだし、倍満が見える2シャンテンでも押した方が得だろう。
というのも、例えば中途半端に回し打ちなんかしている内に、東家からのリーチまで入ったら、
もはや二軒リーチの鉄火場に突っ込んでいくのは、よほどの手でもない限り期待値はマイナスであるし、
ましてやそれに東家が競り勝って和了った場合、親の連荘が続いてしまう。
ならば、西家への放銃は覚悟して、全ツッパして自分も和了へ向かう方がよほどお得だ。
仮に西家に満貫を放銃したところで、親が跳満をツモ和了よりも失う点棒は少なく、
しかも局が消化されて次局に自分に親が回ってくる。良い放銃といえるだろう。
運よく西家に競り勝てたのならば、それはそれで最高の結果に違いない。
放銃を、特に子への放銃はそれほど恐れるものではない。
むろん、点棒状況に基づいた押し引きをするべきだが、押すか引くか微妙な状況ならば、
基本的には押した方が常にお得だ。
和了ってもよし、放銃してもよし、ツモ和了られてもよし、の三方よしだ。