3-1.点棒を取りきろう
競技麻雀ではないフリー麻雀ルールにおいては、点棒が0点を割ってしまうことをトビという。
トビ者が出ればそこでゲームが終了し、その時点で一番点棒を大きく持っているプレイヤーがトップとなる。
三人打ち麻雀は、裏ドラを含めれば最初から20枚ものドラが存在し、
跳満は当たり前、手役も絡めば、倍満・三倍満とどこまでも打点が上昇していくゲームだ。
そのため、四人打ち麻雀よりも、いわゆるセーフティボーダーがきわどく、すこし気を抜けば簡単に逆転されてしまう。
そこで、時には多少の無理を押してでも、「相手をトバしきる」という戦略も必要になってくる。
いくつかのケーススタディを用いて、解説していきたいと思う。
■南一局 0本場
東家:プレイヤーA(親) 70000点
南家:プレイヤーB(子) 23000点
西家:プレイヤーC(子) 12000点
- プレイヤーAの場合
- プレイヤーBの場合
- プレイヤーBがプレイヤーAから出和了って親番が回る
- プレイヤーBがプレイヤーCから出和了ってトバす
- プレイヤーCが和了って親番が回る
- プレイヤーCの場合
- プレイヤーCが和了って局が回る
- プレイヤーBが和了って局が回る
プレイヤーA(親)
プレイヤーAとして、このような点棒状況下におかれた場合、実はそれほど考えることはない。
そもそも親であるのだからほとんど全ツッパすればいいのは、「1-1.親は全ツッパ」でも述べたとおりだし、倍満をツモるか、もしくはプレイヤーBに満貫を直撃すれば、その時点でゲームセットだ。
プレイヤーBもしくはプレイヤーCに放銃したところで、点棒の優位性は変わらないので、やはりなにも考えずに全ツッパすればいい。
しかし、ここでただただまっすぐ和了を目指すだけでなく、一工夫を加えることで、成績に好影響を与える方法がある。
それは、倍満を手作りすることだ。
三人打ちにおいては、手作りはナンセンスだ、と「1-1.最速聴牌即リーを目指そう」でも述べたが、こういう偏った状況では話が変わってくる。
大きな手をツモれば一発KOで、しかも他家に放銃しても、和了れなくても問題がない、というような状況では、三人打ちにおいても手作りをすることが活きてくる。
例えば、プレイヤーA(親)が明らかに、混一色・清一色の手作りをしている河を見た時、ほかのプレイヤーはどのように考えるだろうか。
プレイヤーBもまた、親の倍満を直撃してしまえばトンでしまう点棒なので、
無理を強いてまで親と勝負をするのは避けたいだろう。
役牌を鳴いて早く安く和了ることを考えるかもしれないし、オリ気味に打ってくれることも考えるかもしれない。
プレイヤーCは、倍満をツモられればトンでしまうから、遮二無二になって和了を目指すだろう。一直線に和了へ向かうプレイヤーCを見て、プレイヤーBは攻めっ気を失うこともあるだろう。
これらを踏まえた上で、この局でプレイヤーAが取れる行動を評価すると、
- 手なりで進めてリーチ⇒〇
- 手なりで進めてヤミテン⇒〇
- 手作りしてリーチ⇒◎
- オリ⇒×
ただし、満貫、跳満をツモ和了ってしまうと、次局でプレイヤーBにトビ賞を取られてしまう可能性がある。
プレイヤーCから直撃をするためにヤミテンにするのはアリだが、プレイヤーBにチョロチョロ動き回られる可能性がある。
プレイヤーBを牽制しつつ、一発でゲームセットを狙う。ただし、聴牌スピードで遅れをとる可能性は十分ある。
他家に放銃しても問題ない点棒状況なので、わざわざオリる必要はないだろう。
プレイヤーB(子)
トビが近いプレイヤーと圧倒的な点棒を持つプレイヤーに囲まれたとき、最もプレイヤーの腕前が出るのではないかと思う。なぜなら、ここで下手を打てば、プレイヤーCを差し置いて、トンでしまうおそれがあるからだ。
この局、プレイヤーBにとって好ましい結果は、
- プレイヤーBがプレイヤーAから出和了って親番が回る
- プレイヤーBがプレイヤーCから出和了ってトバす
- プレイヤーCが和了って親番が回る
が代表的なものだろう。それぞれについて深く考えてみよう。
プレイヤーBがプレイヤーAから出和了って親番が回る
プレイヤーBがプレイヤーCから出和了ってトバす
大きく点棒差が開いているとはいうものの、プレイヤーBがプレイヤーAから直撃し、次局の親番を回すことができれば、プレイヤーAを捲ってトップを勝ち取ることも夢ではない。
満貫を直撃できれば、両者の点差は47000点⇒31000点となり、倍満ツモで逆転圏内に入るし、跳満直撃なら、47000点⇒23000点と、かなり接近する。
こうなれば、次局連荘してプレイヤーCをトバしつつ、プレイヤーAからトップを奪取するのも難しくないだろう。もちろん、プレイヤーCから跳満を直撃すれば、トビ賞を獲得しつつ、マイナス成績を抑えることもできる。
というふうに、この局面で攻めっ気を出すことは大きなメリットがあるものの、諸刃の剣であることも考えておかなければならない。
なぜなら、自分自身もまた、それほどたくさんの点棒を持っている訳ではなく、
ともすればプレイヤーAにトバされかねない状況にあるからだ。
倍満を放銃してしまえば、一発でトンでしまい、跳満・満貫放銃でも、次局でプレイヤーCにすらトバされかねない点棒になってしまう。
そして、この局面においては、たとえプレイヤーBが先制リーチに成功したとしても、先述したようにプレイヤーAからすれば大した障害ではなく、手ひどいカウンターパンチを食らう可能性は十分にある。
プレイヤーCが和了って親番が回る
プレイヤーBにとっては、もちろん自分で和了って親番を回してくるのが最善だが、プレイヤーCが和了ることで局が進行するのも次善策だ。
プレイヤーAから出和了ってもらえれば、その点棒を削ることができるし、ツモ和了でもまた、AB間の点差は小さくなる。
さらに、プレイヤーCが点棒を増やすことで、次局のプレイヤーBの親番で連荘しやすくなる。
これらを踏まえた上で、この局でプレイヤーBが取れる行動について評価すると、
- リーチ⇒△
- ヤミテン⇒〇
- オリ⇒〇
リーチを宣言することでオリることができなくなくるのが苦しい。さらに、プレイヤーCがベタオリしてしまい、プレイヤーAと一騎打ちになってしまう可能性がある。
打点に関わらず、どこから出和了ってもそれなりの成果がある。プレイヤーAからのリーチが来た時に、オリれるのも魅力的。
プレイヤーCの奮闘を高見の見物。次局に親番が回ってくることを祈りつつ、自分の点棒を大事にしよう。
最悪、プレイヤーCに抜き打ちして局を回すという手段もあるが、自分の点棒も潤沢ではない現状、過剰な応援というものだろう。
プレイヤーC(子)
プレイヤーCにとっていまの状況は危機的だ。
振り込んでもトビ、オリてもトビかねない。
この局面で、プレイヤーCにとって好ましい結果は、
- プレイヤーCが和了って局が回る
- プレイヤーBがプレイヤーAから出和了って局が回る
が代表的だろう。
プレイヤーCが和了って局が回る
ただでさえトビかねない状況で、点棒を回収しつつ局を回すのが最も好都合だ。ラス親が残っているので、そこまでトバずに来ることができれば、大連荘の末トップすら狙うこともできる。
むろん、プレイヤーAにトバされてしまうおそれもあるが、オリていてもトンでしまうのだから、四の五の言っていられない。
プレイヤーBが和了って局が回る
とにかく、親番さえ回ってくれば逆転のチャンスは残っているのだから、自分が和了らずにプレイヤーBが和了って局が進行するのも悪くない。
プレイヤーAから和了ってくれれば、その点棒を削れるし、ツモ和了でも失う点棒はわずかだ。
しかし、放銃してしまえば、跳満で簡単にトンでしまう点棒なので、注意が必要だ。
もしもプレイヤーBが先制リーチをかけたなら、無理をする必要はないだろう。
これらを踏まえた上で、この局でプレイヤーCが取れる行動について評価すると、
- リーチ⇒〇
- ヤミテン⇒◎
- オリ⇒△~〇
放銃してもトビ、オリてもトビなのだから、地力で和了を目指すのが好手には違いない。
しかし一点注意する必要があるのは、プレイヤーCが先制リーチをかけた場合、プレイヤーBがオリてしまい、親との一騎打ちになってしまう可能性がある。
打点に関わらず、どこから出和了ってもそれなりの成果がある。プレイヤーAからのリーチが来た時に、最悪オリれるのも魅力的。
手牌が整っていないならまだしも、一向聴・聴牌ならば押した方がいいだろう。
仮に跳満ツモで次局まで点棒が残ったとしても、その局で他家を押しのけて和了れる保障はないのだから。