2-1.ヤミテンを使いこなそう

ヤミテンを使いこなそう

 ヤミテンとは、役アリ聴牌をリーチせずに和了すること
 もしくはその状態にしていることを言うが、
 打点ご祝儀の関係から、リーチをかけて和了すること基本的な三人打ちにおいて、
 しかしヤミテンは非常に重要な技術・戦略だ。

 というのも、何度も言うようだが、三人打ちは四人打ちよりも、点棒をより意識してプレイするゲーム性であり、
 ちょっとした放銃が、復帰不能な失点だったり、ドボンさえありうるからだ。

 ゆえにヤミテンの基本的な使用方針は、親との対決を避ける、というものになる。
 以下に、効果的なヤミテンの活用タイミングを、まとめていきたいと思う。


子で愚形先制聴牌

 自分が子で、先制聴牌を入れたが愚形、という場合は、多くのケースでヤミテンにしておいた方がいい。
 というのも、仮にリーチとしてしてしまって、親リーに追いかけられたひとたまりもないからだ。

 むろん、和了のチャンスは減ってしまうが、
 親リーに対してカンチャン/ペンチャンで対決してしまう、という愚を犯してしまうよりかは、はるかにマシだ。

 ただし、愚形でリーチを敢行するのもやむなし、という場面も存在する。
 それは、オーラス、親とトップ争いをしているような状況だ。
 事ここに至っては、親への放銃やドボンなど、後のことを気にする必要はない。
 放銃しようがツモられようが、結局はトップを逃してしまうのだから、
 自身の和了を最優先に考えればいい。

親リーがかかっている中、聴牌した

 親に先制リーチを打たれた最中、安牌を切っている内に聴牌が入る、ということも、往々にしてあるが、
 多くの場合、ヤミテンに構えておく方がいいだろう。
 特に役アリならば、愚形だろうが良形だろうが、ヤミテンが無難だ。

 もしも、ここで親リーに対して追っかけリーチをした場合に考えられる状況はふたつ。

 ・もうひとりの子がオリて、親と直接対決

 ・もうひとりの子も参加しての殴り合い

 ほとんどの場合は、前者のパターンで、親との直接対決を強いられることとなる。
 親との1:1の対決は非常にリスキーな勝負で、オーラス和了トップ条件でもない限り、
 できるだけ避けるべき状況だ。

 かといって、後者のパターンもなかなか恐るべき状況で、
 二軒リーチに対して、それでもなお突っ張ってくるということは、
 自分の手牌に相当の自信があるということに違いない。
 良形+打点十分で、親との直接対決するにも十分つり合いがとれている。
 いくら相手が子といえど、そんな相手とも対決せねばならない、というのは、親リーもあいまって過酷な勝負だ。

 しかし一方で、自分の手が親と勝負するにも十分というものなら、
 親リーに立ち向かってもいいだろう。

子のリーチがかかっている中、聴牌した

 子に先制リーチを打たれ、次巡に好形聴牌が入った。
 さて、この時にリーチを打つべきかヤミテンにするべきか。

 もちろん、追っかけリーチをかけて、親にプレッシャーをかけつつ積極的に和了を目指すのもよいが、
 一方で、もっと防御的に、ヤミテンにして、
 親リーがかかったらすぐにオリられるようにするのも悪くない。
 いかなる点棒状況においても、親リーに放銃することは常に避けなければならず、
 それはごく限られた条件を除いて、積極的に和了することよりも優先すべきだ。

 愚形聴牌ならば、役アリであれ役ナシであれ、ヤミテンにしておく方が無難だろう。
 子相手とはいえ、愚形で追っかけリーチを打つのは、やはり分が悪い。

南入以降、子で先制聴牌

 南入以降は、ゲームメイク、ゲーム進行に特に神経を使っていかなければならない局面が続く。
 オーラスに向けて、トップが取れるように点棒を調整する必要がある。

 例えば南二局:西家で、暫定トップという点棒状況ならば、
 配牌を開くまでに、するべきことがほぼ決定している。
 それは、いかに「局を消化するか」ということだ。

 南二局で親に連荘されて、トップ争いから脱落する、ということも珍しくない。

 だから、点棒優勢で迎えた南場は、速やかに局の消化に努めるべきだ。

 特に親番がもう残っていないとなれば、大きな失点を取り戻すことが不可能で、
 なおさら局の消化に尽力するべきだろう。

 例えば、平和ドラ4を聴牌したとして、リーチをかければ跳満確定ではあるが、
 当然のヤミテン選択だ。
 リーチをかけて、他家にプレッシャーを与えて進行を阻害する、というのはあまり得策ではない。
 なぜなら、それは和了率を下げるだけのリーチでしかなく、
 そのせいでもうひとりの子にベタオリでもされたなら、出和了の確率は一気に半減となるからだ。

 突き詰めてしまえば、点棒優勢状況下では、自分が和了る必要すらないと言える。
 親にさえ連荘されなければ、もうひとりの子が和了ることで、局は進むのだ。

先制聴牌したが、打点が低い

 例えば東三局:南家、七巡目。おそらく先制で、タンヤオドラ1を好形で聴牌した。
 が、局面を見渡してみると、親が華を3枚抜いている。
 こんな場面で、聴牌したから即リーチ、というのは、かなり危険だ。

 自分にドラがない時は、他家にドラが多く集まっていると考えるべきで、
 (実際は、山にたくさん埋もれていることも多いのだが)
 いかに好形リーチといえど、子に追いかけられた時すら、
 打点面でつり合いが取れず、不利な勝負を迫られるおそれがある。

 そしてこれが仮に役ナシドラ1の手であっても、場合によってはヤミテンを推奨したいケースもある。
 役ナシドラ1をリーチするということは、親に追っかけられた際に、
 リーチドラ1の安手で、親に全ツッパしているのと同じことだ。

 リーチをかける時は、十分に勝負になる打点と待ちで臨むことにしよう。

先制聴牌したが、親/子の打点が高そう

 これはほぼ同じような理屈なのだが、
 例えば東二局:西家、11巡目。おそらく先制で、タンオヤ平和ドラ4で聴牌したとする。
 一方で、親は河を見る限り、筒子の清一色/混一色を目指しているようだ。
 こんな場況で聴牌即リー、というのもやはり危うい。

 親がイーシャンテンなら、リーチなどなにも気にせず押してくるだろうし、
 もうひとりの子にオリられ、親と一騎打ちとなってしまうのも、具合が悪い。

 リーチをかけて倍満を目指したところではあるが、そこをぐっと堪えて、
 ヤミテンに構えて少しでも和了確率を上げる方がいいだろう。

TIPS:判断の分かれるヤミテン

 ここから先は、プレイヤーによって非常に判断の別れる部分で、
 むしろヤミテンよりもリーチした方がいい、という人もいるだろう。

 あくまで、ひとつの参考意見として読んでいただけると幸いだ。

親番でのヤミテン

 三人打ちにおける親番は、いわば大量得点チャンスで、
 ほとんどの場合、ヤミテンにすることはないだろう。
 たとえ愚形であっても、先制であればリーチを打って、他家への押さえつけを図るべきだ。

 しかし次に紹介するのは、親番で使うヤミテンの一例だ。

 南一局:東家で、持ち点が60000点程度だったとする。
 そして、子ふたりの点棒が20000点程度で、並んでいるとする。

 この点棒状況において、好形でタンヤオドラ3を聴牌した場合、
 多くのプレイヤーがリーチをかけて、跳満を目指すだろう。

 しかし、ここであえて満貫止まりのヤミテンを仕掛けることで、以下のような効果が見込める。

  1. 和了率がぐっと上がる
  2. 片方の子がドボン寸前となり、もう片方の子がトップよりもトビ賞を狙いに行く
  3. 以降、他家があなたに対して、ヤミテンを警戒するようになる

 リーチよりもヤミテンの方は、和了率が上がるのは言わずもがなだが、親番の場合は特に顕著だ。
 三人打ちは親番で点数を稼ぐゲームなのだから、よもやヤミテンなどしてくるまい、という考えがあるからだ。

 そして、どちらか片方の点棒を出和了で大きく削ることにより、そのプレイヤーのみならず、
 もうひとりの子に対しても、トップを困難にすることができる。
 というのも、一方の点棒がドボン寸前になってしまったことにより、暫定トップのプレイヤーをまくるよりも先に、
 そのプレイヤーがトンでしまう、という事態になりかねないのだ。

 最後に、思いがけないヤミテンに突き刺さることで、放銃してしまったプレイヤーは、
 それ以降あなたに対する警戒度をぐっと引き上げる
 中盤に中張牌を二、三枚切り出しただけで、「もうヤミテンしているのではないか?」という疑念を持たせることができるのだ。

オーラス、点棒圧倒時のヤミテン

 オーラス:西家で、点棒が60000点近く持っていたとして、
 序盤に役ナシ両面聴牌が入った。
 素直にリーチと宣言して、和了ってフィニッシュ、というのももちろん悪くないが、
 ヤミテンという選択肢も頭に入れておくと、戦術の幅が広がるだろう。

 この局面でヤミテンをするメリットはふたつ。
 ひとつは当然、親への打ち込みを回避できること
 そしてもうひとつは、子への打ち込みができることだ。

 親に跳満や満貫をツモられれば逆転されるが、子に対してならば、三倍満でも放銃しない限り、トップが取れる、
 というような点棒状況は、三人打ちにおいてはわりとよく見られるもので、
 むろん自分で和了することでトップを取りに行くのも正しいが、
 どうしても和了が厳しい、というような場面では、子への打ち込みも積極的に狙っていこう。

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