1-4.急がず、焦らず
麻雀は、運と技術のゲームであると同時に、メンタルのゲームでもある。
というのも、牌効率だの、牌理だの声高に叫ばれ続けて久しい現在ではあるが、
それを操るプレイヤーは、すべて人間なのだから、
体調不良がケアレスミスを生み、焦りが致命的な失敗を招くこともある。
そして、精神的な余裕のなさは、麻雀の実力とは別に、
牌捌きなどの卓上の動作にも、如実に現れる。
分かりやすい例で言うならば、負けている客が突然不愛想になったり、
強打気味になったり、……などなど。
客がしている分には、他の客の顰蹙を買うだけで済む話かもしれないが、
メンバーがするとなれば、話が変わってくる。
特に、焦りすぎて、理牌の時に自分の手牌を見せてしまったり、
山をぽろぽろこぼしてしまったり。
ほかにも、ふたりの客の間に本走として入った時に、
その客たちの打牌スピードがとんでもなく速く、
それに無理をして合わせようとして、手牌をこぼしたり、あわや山を崩したり、……。
客がする分には、ほかの客の顰蹙を買うだけ済むかもしれないが、
メンバーがやらかしたとなれば、話が変わってくる。
メンバーとしての品位に関わってくる問題だ。
しかし、そういう客たちに囲まれたとして、別段焦る必要はない。
彼らも、メンバーに意地悪をして、無理に打牌スピードを上げている訳でもないのだから。
ツモ動作から打牌まで、テンポよく、常に一定のリズムと心掛けよう。
その際のコツを、以下に紹介しておく。
- ツモってきた牌は理牌しない!
- 迷い箸はみっともない!
- 字牌の切り順を悩むな!
この三つを意識しているだけで、打牌テンポは一気に改善される。
プレイヤーの中には、山からツモってきた牌を、
毎回毎回、いちいち手牌の中の正しい位置に入れてから、打牌を始める人もいる。
しかし、そのワンアクションが意外にもテンポを悪くしがちだ。
ツモってきた牌は、打牌完了後、ほかのプレイヤーの手番中に理牌するように心がけよう。
迷い箸といえば、食事中、いくつかあるお膳の上で、
なにを食べようかと箸をさまよわせることだが、
麻雀の打牌においても、同様のことがいえる。
右端の牌を切ろうと手をかけるが、やっぱりやめて、左端を牌を……これも違う。
誰もが覚えのある行動だと思うが、これもやはりリズムを乱す行為だ。
一度切ろうとして摘み上げた牌を、途中で手の中に戻すのは、特に性質が悪い。
それならば、「すみません」と一言謝って、長考してじっくり考える方が、よほど良い。
局が始まり配牌をもらって、とりあえず理牌……
している内に、自分の手番が回ってきた。しかしまだ理牌は終わっていない!
ということは、誰しも何度も経験のあることだろう。
慌てて山から牌をツモって、さあなにを切ろう。
萬子を含む字牌がいくつかあるが、いったいなにから切ろうか……
というようなことで悩むのは、あまりよろしくない。
たしかに、字牌にも望ましい切り順があるのに違いはないが、
それを求めるがあまり、(特に一巡目で)長考するのは、いただけない。
ふだんからテンポの悪いプレイヤーが長考するのと、
そうでないプレイヤーの長考では、与える印象がまったく違うということも、
常に頭の中にとどめておこう。