1-4.点棒を獲りきろう
昨今、有名天鳳プレイヤーやプロ団体の選手が、
自身の経験を詰め込んだ、麻雀本というのを競って出版しているが、
確かにそれらを読むことで、技量や考え方を習得することもできる。
中には、ケースバイケースの状況判断、押し引き判断などまで細かに記したものもあって、
非常に参考になる教本も存在するのだが、
それ以上の、麻雀上達のための教科書が、実はそこかしこにあふれている。
それは、「ほかの人の打っている麻雀」である。
最も効率的な麻雀上達法はなにかと問われれば、
強者に後ろ見をしてもらって、ツモや打牌のたびに、
アドバイスやダメ出しをもらうことだが、
現実問題、これはかなり難しい。
では、その次善策としてすぐれている方法、
それが、他人の麻雀を後ろ見することだ。
他人の麻雀を後ろで見るということは、その人の書いた本を読むことよりも、
もっとたくさんの情報量を得ることができるのは言うまでもないだろう。
しかし、その膨大な情報量を処理しきれないのでは、もったいない。
どのようなポイントに注目して、ほかの人の麻雀を見るべきか、
すこし触れていきたいと思う。
- 押し引き判断
- 序盤~中盤の孤立牌の捌き方
- 中盤~後半の塔子の捌き方
- 聴牌時のリーチ判断
あたりに注目すると、分かりやすい。
1.押し引き判断
三人麻雀においては、押し引きの判断はキモといっても過言ではない。
その理由は、「点棒状況を常にチェックしよう」や、「押し引きははっきりと」
でも説明しているので、今回は割愛するが、
これが正確な人ほど、不要な点棒の支出が少なかったり、
窮地からの逆転が多かったりする。
特に、他家の先制リーチが入った時が、見どころのひとつで、
「なぜこの手でオリるんだろう?」
「なぜこの手で押すんだろう?」
と疑問に思った時には、その人との押し引き判断に違いがあるということだ。
この時、最も手っ取り早いのは、その人に直接質問することだが、
それが難しいようなら、自分なりに考えてみるだけでも参考になる。
2.序盤~中盤の孤立牌の捌き方
局が始まり配牌を開いた時、ほとんどの場合は数枚程度の萬子や字牌があるが、
それをどの手順で、打牌し、あるいは残すのかも、注目すべきポイントだ。
なぜその字牌を先に切ったのか、なぜ絞ったのか、
そこには当人なりの意志があるはずだ。
ほかにも、序盤の手組の段階で、
手狭に受けるのか、もしくは広く受けるのか、
なぜ有効牌の数を減らしてまで安牌を持ったのか、
これらには必ず理由があるはずだ。
3.中盤~後半の塔子の捌き方
局が進み、いよいよ手牌の中で塔子オーバーし始め、
各家、仕掛けを入れ始めたり、濃い牌が出始める頃、
ここで目を向けるべきは、他家に対する対応だ
例えば、手を目いっぱいに受けず、複合塔子の両面に固定したり、
仕掛けがひとつ入っただけで、ベタオリをしたり、
多種多様な他家への対応を見ることができる。
そしてこれは、自分がその人と対局するときにも逆利用が可能で、
いわゆるその人の麻雀の癖を見抜いた戦略を採ることができるのだ。
このあたりは、「相手をよく見よう」で、詳しく解説していきたいと思う。
4.聴牌時のリーチ判断
そしていよいよ聴牌が入った時に、
リーチとするのか、あるいはヤミテンのまま構えるのか、
これに注目したい。
役ナシ両面をヤミテンにしている理由はなんなのか、
変化が十分にある愚形を、聴牌即リーにした理由はなんなのか。
まとめ
他人の麻雀を見る勉強法は、非常に有効なものではあるが、
その際に、ひとつ心掛けなければならないことがある。
それは、「この打ち方はありえない」と、頭から否定してかかることだ。
また反対に、「この打ち方が最も優れている」と全面肯定することもまたいけない。
麻雀というゲームにおいては、どうするのが正解、という答えはほとんどない。
あくまで、戦術・戦法の引き出しを増やす、という意識を常に持ち続けるべきだ。
自分よりも下手なプレイヤーな打牌や判断が、
その局面においては優れている可能性もあるし、逆もまたしかりだ。
常に謙虚な気持ちで、しかし同時に疑ってかかる気持ちで、他人の麻雀を観戦したい。