三人打ち雀荘のメンバーのお仕事
メンバーの仕事といえば、やはり一般的には「麻雀を打つこと」と思われがちだろう。
悲しいことに、実際の現場でも、そう思っているメンバーは少なくない。
もちろん、職務のほとんどが「麻雀を打つこと」になってしまっている場合も、なきにしもあらず。
例えば、都市部のチェーン店のような「大型の雀荘」ならば、そうなってしまうのも、仕方がないのかもしれない。
雀荘のメンバーの仕事を考えるのに、
まずは、雀荘という店の業務形態について、少し考えてみたい。
雀荘はどうやって利益を上げている
さて、そもそも雀荘とは、どのようにして収益を上げる経営方式なのだろうか。
飲食店なら、食材を仕入れ、それを調理し、客に販売する。
その仕入れと売値の<差額を利益として上げている。
運送業なら、A地点からB地点にまで荷物を運ぶ手間賃を利益として上げている。
ならば、雀荘はなによって利益を上げているのだろうか。
答えは簡単。
ひとつは、当然、セット業務による収益。
これは、セット客たちに全自動卓と麻雀牌を貸し出し、また諸々のサービスを供することによって、
1時間当たり〇〇円、とかで料金を徴収し、それを利益としている。
もうひとつは、フリー業務による収益。
これは、フリー客たちに、全自動卓と麻雀牌を含め、「麻雀を打てる場」とサービスを提供することによって、
1半荘あたり〇〇円、とかで料金を徴収し、それを利益としている。
要するに、客が店で麻雀を打った時間=利益と思ってもいいだろう。
それを踏まえた上で、メンバーはどのような仕事をするのが、
雀荘にとってふさわしいかを、考えてみたいと思う。
メンバーのお仕事
メンバーの仕事について書く上で、フリー業務に焦点を絞っていきたいと思う。
なぜなら、セット業務というのは、その性質から、メンバーが介入しずらいからで、
一方、フリー業務というのは、常にメンバーが監督している訳だから、
フリー業務において、いかに利益を上げられるか、がメンバーの腕の見せ所といってもよい。
前述したような、「大型の雀荘」では、メンバーがどうこうすることなく、
客はその看板やネームバリューにひかれて、おのずと足を運んでくる。
メンバーは、やってきた客を、メンバーを入れるなりなんなりで、片っ端からフリー卓に座らせればよい。
が、個人経営の三人打ち雀荘となると、少し話が違う。
オープンから数時間、フリー卓が立たない、というようなことも少なくない。
仮に、その店では、メンバーを常にふたり置いてるとして、時給は1000円/時とした場合、
1時間の経過とともに、人件費だけで2000円のコストを店側は支払っていることになる。
何が言いたいのか、少しは察せたことだろう。
要するに、メンバーの仕事とは、いかにフリー卓を立たせるか、この一点に要約されているといってもいい。
フリーのゲーム代が、1半荘あたり3人で1000円として、
1時間あたり3半荘消化できるとして、
フリー卓の収益は3000円/時だけれど、
この状況のまま、1人の客がやってきて、メンバーツー入りでフリー卓を立てた場合、
果たして、3000円/時-2000円/時=1000円/時の利益が上がるだろうか。
答えはNOである。
額面では1時間あたり1000円の利益が上がっているように見えるが、事はそう単純ではない。
なぜなら、フリー雀荘では、プレイヤー同士が金を賭けて奪い合うものだから。
メンバーツー入りの卓で、客が大勝ちした場合、
確かに額面上の「売り上げ」は出ているかもしれないが、
現実的なキャッシュは店から出て行ってしまっているのだ。
まるで回すということ
店にとって理想的なフリー卓の状態というのは、当然、客が3人で卓が立っている状態だ。
このこと、「まるで回っている」という風に表現したりもする。
フリーがまるで回っていれば、メンバーが麻雀を打つこともないから、
ゲームバックが発生することもないし、メンバーがこてんぱんにやられて、
店からキャッシュが失われるということもない。
額面通りの利益が、店へと上がってくるという訳だ。
それに、まるで回っている方が、メンバーにとっても何かと好都合で、
清掃やセット対応への他の業務に集中できるし、
なにより負けて給料がなくなる心配がない。
メンバーの仕事は、いかにフリーをまるで回すか、にかかっている。
その手段として、フリー客の連絡先を聞いておいて、呼んでおくというのも有効だろう。
メンバー入りでフリーを立てるというのは、どうしても客を呼べない時の、最終手段と思ったほうがいいだろう。