三人打ちフリー雀荘メンバーのぼやき⑦

三人打ちフリー雀荘メンバーのぼやき⑦

 つい先日、僕の勤める三人打ちフリー雀荘にて、あわや出禁になりかねない、いざこざが発生した。

 結果として、その客はオーナーによる厳重注意で済んだのだが、
 その時の一部始終に、思うことがあったので、こうやって文章にしてみる次第。

平日の忙しいある日

 事の顛末を語る前に、すこしその雀荘の説明をしておこうと思う。
 というのも、一口に雀荘と言っても、大手チェーン店のようなマニュアル重視型の店舗と、
 個人経営店のような店舗では、がらりと様相が違う。

 僕の勤め先も、後者の、個人が経営する三人打ちフリー雀荘で、
 客とメンバーも、お客様と従業員というよりかは、もっとずっと懇ろな関係だ。

 出勤時刻の前に一緒に晩御飯に行って、クローズ後にはモーニングに行って、
 カラオケにだって行ったりもする。

 いわば店の経営と客の消費の距離が密接、とでも表現すればいいだろうか。

 さて、その日は、平日にしてはずいぶんと忙しい日だった。

 フリー1卓のセット5卓に対してメンバーふたり。唯一の救いといえば、フリーがまるで回っていて、立ち番がふたりもいること。
 これが、メンバーがツー入りとかになると、もうてんやわんやだ。

 そこに、フリー客がふたりやってきた。当店の常連で、月150半荘近く打ちながらも、収支を黒字でキープしている猛者たちだ。
 じゃあさっそく、メンバーをひとり入れて、フリーを立てよう……とは、ウチの店の場合はならない。
 というのも、客同士の雀力や好き嫌いなどを総合的に考慮して、卓割りを組むのだ。

 現在、まるで回っているフリー卓の三人の面子の内、ひとりは図抜けてレベルが高い。
 ならば、いまやってきたふたりと、その客で卓を組むのが、その理屈に適っているというものだ。

 そういう訳だから、その時も、その三人でフリーを立て、まるで回っていたところには僕が本走で入り、
 立ち番にメンバーを一人残して、フリー2卓のセット5卓の店内状況。

 その状況のまま、一時間が過ぎたところで、猛者卓の方で、声が上がった。

「撤退します!」

 と宣言したのは、卓移動をした客。
 元の卓では、ぶいぶい言わせていた彼も、猛者ふたりに包囲されれば、やはり厳しいものがあったらしい。

 ん……ちょっと待てよ???

 この状態で彼が抜けるということは、そこには当然、もうひとりメンバーが入る必要がある。
 すなわち、立ち番がいなくなるということ。
 となれば、セットの飲食の注文のたびにフリーのゲーム進行を止め、
 メンバーがフロアを行ったり来たりせねばならない。

 が、客が辞めると言った以上、何を言っても詮無い事。

 もしもこの時、当の客が、そのまま帰路についていたなら、何事も起こらなかったろう。

 「撤退」という言葉の通りに、その客は、「麻雀自体」を止めた訳ではなく、例の包囲網から撤退しただけに過ぎなかったのだ。
 ソファでスマホをいじりながら、虎視眈々と獲物を待つ姿は、あるいは狩人のよう。

 僕ともうひとりのメンバーが、本走をしながらセットの対応に追われているのを横目に、
 ゆうゆうとソファでくつろぐ姿に、若干のいらだちを覚えながらも、
 そんなことを言っている暇もない。

オーナー登場。そして――――

 と、ここでオーナー颯爽登場。
 猛者ふたりに囲まれているメンバーが、本走に入りながらも、オーナーに増援を求めていたのだ。

 うちのオーナーが立ち番をすることはないので、
 まぁ、猛者卓の方のメンバーと入れ替わるのだろう、など考えていたところ、

 オーナーがまず向かったのは、待機席のソファ。そして、狩人に向かって、開口一番。

 「状況を考えろ」

 と、小さな声ながらも、確かに叱り飛ばした。
 それから、

 「面子を選ぶな」

 とも。

 しかし、「フリー」雀荘なのだから、いつ麻雀を打つも、いつ止めるも、本来自由のはずではないのか。
 ところがどっこい、必ずしも――特にこの店のような個人経営の場合――そうではない、とオーナーは主張する。

 僕が本走で麻雀を打つかたわら、オーナーの説教はこんこんと続く。

 そして最後に、

「そういう客は、うちの店には要らん」

 と締めくくった。

 再び同じようなことをするのであれば、次は出禁にする、という事実上の通達である。

フリー雀荘は、本当に「フリー」なのか

 オーナーの言い分としては、要するに、「店に気を遣え」ということと、「同卓者に気を遣え」ということの二点だろう。

 そりゃまあ、セット5卓で、立ち番がゼロというのは店としてはありがたくない状況に違いないし、
 麻雀をはじめて、わずか3半荘で、半ば同卓拒否発言にも近い、撤退宣言をされた同卓者は、気を悪くするに違いないだろう。

 かといって、フリー麻雀の醍醐味である、「いつでも始められて、いつでもやめられる」というルールに則った彼を、
 そこまで非難する道理があるのだろうか。

 どちらの主張にも理がある分、僕としてはいかんともしがたい気持ちだが、
 強いていうなら、客の肩を持ちたいと思う。

 客が店に気を遣う必要なんて、これっぽっちもないと僕は考えるし、
 気を悪くした客には、店側がなんらかのフォローをするべきだし、実際に僕もそうしている。

 なにせ、プレイヤーはそれぞれ、命の次に大切なお金を賭けて麻雀を打っているのだから、
 卓の上での温情は、無用の長物に違いないはずだ。

 もちろん、その雀荘のカラー・特色があるから、一概には言い切れない問題かもしれないが、
 みなさんは、どうお考えになるだろうか。

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華土ノ本寄稿者

投稿者プロフィール

 このサイトにて、主に「弱小メンバーのガチンコフリー雀荘道中記」を執筆させていただいております。
 趣味は読書と麻雀。
 仕事は、とある片田舎の三人打ち雀荘メンバー。勤めて三年になります。

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