三人打ちフリー雀荘メンバーのぼやき⑥
三人打ちフリー雀荘で働き始めて、もうかれこれ二年以上経過するが、
どうにも納得いかないことが、いくつかある。
とある月の給料がゼロだの、本走中は給料は実質時給ゼロだの、
オープンラストの営業時間はクソだとか、
そういうのは、もはや諦観の境地に至ってしまって、
すっかり合点がいってしまっている。
腑に落ちないのは、額面給料と手取り給料の大きな落差についてだ。
ふつうの会社でサラリーマンやOLをしている方でも、額面と手取りの差は大きいだろうが、
その落差の内訳は、国民保険料だの税金だのを、額面から天引きした金額が振り込まれるというもの。
では、個人営業のフリー雀荘で働く僕たちはどうだろうか。
例えばその月、250時間働いて、25万円の額面給が発生したとする。
しかし、その月は300本打って、15万負け。ゲームバック込みで、10万の負けだとしよう。
つまり、僕が受け取れる賃金は10万円だが、役所関係には25万円で報告されている訳だ。
……納得がいかない。世間的には、25×12=300万円の年収を得ていることになっているが、
実質は、その半分以下の120万円しか手にしていない。
社会的には、年収300万円であるから、当然、各種年金、保険料、税金も、その額に応じたものを支払わねばならないのだが、
……やはり納得がいかない。
ちなみに、年収300万円の人の手取り金額は248万円程度だという。
ということは、52万円もの大金を、僕は国や地方自治体に支払わねばならないのだ。
120-52=68万円。が、実質の年収となる。
月5万円強で生活を強いられる訳だ。たぶん、これは人が生きていけるギリギリの額じゃないかしら。
ちなみにだが、この10万円という金額、メンバーである僕からすれば、
対局者の他の客に支払額という形で持っていかれたり、
雀荘にゲーム代という形で徴収されたり、
という見え方をするが、
店舗側からすればどのように処理されているかといえば、従業員がポッケに隠し持っているという扱いになるらしい。
まぁ、当然、公に賭博をしているとはいえないから、仕方ないといえば仕方ない裁定なのかもしれないが、
これもまたなんだか納得がいかない。
だから、仮に25万の額面給に対して、ゲームバック込み30万の負けを喫してしまった場合は、
店舗としても困ったことになる。なぜなら、売上はフリーのゲーム代やセットの料金を計上して報告せねばならないが、
アウトオーバー分の5万円のキャッシュは、店の財布から流出してしまっている。
つまり、完全な空売上、どころか売上とキャッシュ利益が大きく離れてしまう現象が起こる。
メンバーのアウトオーバーが多数上がったり、それが続いたりすると、店舗側も苦しく、
かといって、いまの雀荘業界、どこもメンバーが足りていないのが現状で、
容易に解雇するのも難しい。
いっそ、メンバー本走負け額控除や、引当金みたいなのが、制度として配備されればいいのになぁ……。
なんて、呑気に考えつつも、今日も今日とて給料が出ない。
※
余談だが、法人登録をしていない、個人事業の雀荘の場合、
売上金額を操作するのは非常に用意だ。
飲食店などでは、仕入れ額が分かってしまうため、売上額もある程度類推されるが、
雀荘でかかる経費といえば、メインは人件費くらいのもの。
だから、費用を低く見積もって、同時に売上を低く偽装することも簡単なのだ。
これが良いことか悪いことかの判断は、置いておくことにする。