ゼロから始める三人打ち麻雀 その3

ゼロから始める三人打ち麻雀 その3

 こちらの記事は、「ゼロから始める三人麻雀 その1」をご覧になって、
 麻雀のルールを一通り把握した方向けの記事です。

 当記事では、大阪三人麻雀独特のハウスルールや、
 「フリー雀荘」というものについて、触れていこうと思います。


目次


その1、抜きドラのお話

 三人麻雀は、北家が常に不在のため、「北」
 もしくは、「華牌」を抜きドラとして利用している、
 とは前回の記事でも書いた通りですが、

 その使い方については触れていなかったため、
 ここで解説したいと思います。

 「北」あるいは「華牌」が自分の手牌にある時、
 該当する牌を公開し、ポンやカンの副露と同じように、右側に寄せます。
 そして、リンシャン牌から代わりの牌を1枚補充するだけ。

 これで、和了の際に、ドラが1枚追加されます。

 しかし、この抜きドラが、ルールによって様々に扱いが異なり、

 例えば、「華牌」を採用している場合には、
 「北」はどのような扱いの牌になるかといえば、
 共通の風牌――つまり、三元牌のような、役牌としているルールがほとんどです。

 一方で、「北」を採用している場合には、
 その「北」を巡って、いくつものルールが存在します。

 ①北をポン可。ただし、その場合、全員のオタ風扱い

  例えば、親のAさんが配牌を開いた時に、「北」があり、
  それを公開して抜きドラにしようとしたとします。

  が、ここで南家Bさんがその北に対して、すかさずポン。

  この場合、Aさんの抜きドラは不成立となり、
  Aさんはリンシャン牌から新たな牌を補充することも、
  和了時にドラが付与されることもありません。

  そして、北をポンしたBさんですが、
  北は全員のオタ風(=役牌ではない)ですので、
  西をポンしたのと同様で、
  和了には何かしらの役が必要となります。

  ポン可能ですので、もちろん、和了時の待ちにすることも可能で、
  のシャンポン待ちで、
  誰かが北を抜いた時に、それに対して「ロン」を宣言することができます。
  (ただし、北を抜いていた場合は、フリテン扱いとなります)

  さらに、他家の一発を消す効果もあります。
  北がポン・ロン可能なので、北を抜くこと=ポンやカンをすること、
  と同様の扱いとなります。

  また、北を抜くことのなく手の中で3枚揃えて、暗刻にした時も、
  1面子として使うことはできますが、
  ドラや役牌として扱われることはありません。

 ②北をポン不可。

  他家の抜いた「北」に対して、ポンのアクションができないルール。
  ただし、「ロン」は一部可能で、
  待ちが「北」が絡む役満のみ、誰かが北を抜いた際に、
  「ロン」ができるという、すこしややこしい。

  例えば、Bさんが国士無双や四喜和で北待ちをしている時に、
  Aさんが北を抜いた場合、それに対して「ロン」が可能です。
  (役満については、「役を覚えよう! ③」で後述します)

  このルールを採用している場合は、北を面子として使うことはできず、
  手の中で3枚揃えたとしても、
  バラバラの特殊牌を3枚ずつ持っている、というような裁定となります。

  このルールにおいては、北を抜いても一発が消えない場合もあります。

 ③北は、「共通の風牌」かつ「華牌」

  「北」は役牌でもあり、「花牌」でもあるという、特殊なルール。
  抜けばもちろんドラになりますし、誰かが抜いた時に「ポン」することも可能。

  ①との違いは、ポンした北が役牌になるうえに、
  しかも、ドラまでついてくるということ。

  つまり、北をポンするだけで、
  「役牌ドラ3」が簡単にできるあがるのです。
  もちろん、ポンをせずに暗刻にしても、同様です。

  このルールでは、北を抜いた場合、一発が消える場合がほとんどです。

 以上、3つのいずれかが、最も一般的な「北」の扱いでしょう。
 もちろん、ほかにも様々なルールが存在します。

 例えば、有名なインターネット麻雀サイト「天鳳」では、
 基本的には①のルールに近いですが、

 北を抜いていても、フリテンにならなかったり、
 北を抜き、リンシャン牌から新たに牌を補充した時にツモ和了した場合、
 嶺上開花が成立したり、(一般的には成立しない)

 同じように、雀荘毎に北の扱いが異なります。

 それゆえ、プレイヤーによって北に対する扱いが違い、
 トラブルを避けるために、「華牌」を利用する店舗も少なくありません。

 華牌の裁定はいたってシンプルで、
 抜きドラ専用の特殊牌扱いとしていることが多く、
 手牌の中で使うことはできませんし、
 「空気扱い」と言って、華を抜いた際に、一発が消えることもありません。

 以下に北に対する主な裁定ポイントをまとめておきます。

 ①ポンできるか/できないか

 ②面子として扱えるか/扱えないか

 ③一発は消えるか/消えないか

 ④役牌がつくか/つかないか

 ⑤ポンしてドラになるか/ならないか

 ⑥河に捨てられるか/捨てられないか

 もしも、あなたが「北抜き」ルールで誰かと麻雀を打つ際は、
 その扱いについて、厳密に定めておくべきでしょう。


その2、クイタンのお話


 「ゼロから始める三人麻雀 その1」で紹介した、「タンヤオ」という役を覚えているでしょうか。

 成立条件は、
 

 のように、ヤオチュー牌を含まない面子構成であること。

 四人麻雀において、現在主流のルールでは、
 タンヤオは、副露していても成立することが通例です。

 しかし、三人麻雀においては、
 門前限定の手役であることが一般的です。

 すなわち、
  

 というような手牌の場合は、タンヤオは不成立となり、
 この和了は「1翻縛り」のルールに抵触するため、「チョンボ」となります。

 副露した上で成立するタンヤオのことを、「クイタン」と呼称します。

 もちろん、ルールによっては「クイタン」を認める場合もありますから、
 北の扱い同様、他の方と麻雀を打つ際には、よく確認しておきましょう。


その3、先付け/後付けのお話

 麻雀の役の成立に関するルールに「先付け/後付け」というものがあります。
 かなり細かい話になりますが、
 三人麻雀においてはよく話題に上るルールなので、
 ぜひ覚えていってください。

 まずは、以下の2つの手牌をご覧ください。

  
                   (二度目の副露)(一度目の副露)

  
                   (二度目の副露)(一度目の副露)

 一見、①と②は、ともに「役牌」という役が成立した、
 まったく同じ牌姿に見えます。

 しかし、このふたつの牌姿の持つ意味合いは大きく異なります。

 ポイントは、副露の順番。
 特に――「役の成立に関する牌」の副露の順番にあります。

 ①は、先に役の成立とか関係のないをポンしており、

 ②は、先に役の成立に関係するをポンしています。

 ①のような副露の仕方を、「後付け」と呼び、
 ②のような副露の仕方を、「先付け」と呼びます。

 「役の成立に関する牌」を「先」にポンしているか、
 後」にポンしているか、の違いです。

 些細な違いのようにも思えますが、
 関西(特に大阪)で主流の三人麻雀では、
 「先付けのみを認める」というルールが一般的です。
 翻って、「役が先に確定している場合」のみ和了を認めるのが通例です。

 つまり、①の手牌の場合、「役牌」という役は不成立となります。

 ほかにも、

 

 という牌姿において、でロンすることもまた、
 「後付け」となります。

 ちなみに、

 

 という形で、でロン和了することは可能です。

 をポンした時点で、既に手牌の中に「役牌」が成立しているからです。
 第一副露の時点でが暗刻でなかったとしても、
 和了したときには第三者には確認できないので、それは不問とされます。

 という牌姿において(リーチはかけていないものとする)

 仮にが誰かの手牌から出てきたとします。

 この時、リーチをかけていないために、
 なんの役も成立していない、ということは分かりやすいと思います。

 では、が出てきた時はどうでしょうか。

 一見すると、が刻子になって、「役牌」が成立したように見えます。

 しかし、これもまた「後付け」となります。
 なぜなら、牌姿だけでは、「役が付くかどうかは不確定」で、
 仮にロン宣言牌がであったとしても、
 「先付け」ルールに抵触しているものとみなされます。

 和了牌が複数ある場合、どちらか一方は役が付き、どちらか一方が役が付かない
 という牌姿は、「先付け」ルールに反する、と覚えましょう。

 もちろん、リーチを宣言していれば、その限りではありません。
 リーチを宣言した時点で、その牌姿には、リーチという役が付与されるからです。

 また、和了牌をツモって来た場合も、
 ツモ和了をすることが可能です。
 というのも、門前でツモ和了した際には、
 門前清自摸和という役が、確定しているからです。

 一方、

 という牌姿については、どうでしょうか。

 が出た場合は、「役牌」が成立し、

 また、が出た場合にも、同様に「役牌」が成立します。

 この場合は、リーチを宣言していなくても、のどちらでもロン和了することが可能です。

 このような、どちらの和了牌でも役が付く、という状態のことを、
 「王手飛車」と呼びます。

 ところで、

 
(西は役牌でないとする)

 という牌姿はどうでしょうか。

 この場合、でもでもロン和了することはできます。

 なぜなら、をポンした時点で、
 すでに混一色という役が確定しているからです。

 「先付け/後付け」のルールは、店舗や個人によっても解釈が異なる部分が多く、
 どこからどこまでを「先付け」とみなしているか、ばらばらであることもしばしば。

 いま筆者が述べた分は、少なくとも多くの人が共通に認識しているだろう、と
 思われる部分で、
 実際にはもっと厳密な区分や、ルールに抵触する和了が存在することもあります。

 詳しくは、「完全先付けと後付けの話」をご覧ください。


その4、点数計算のお話

 以前、「ゼロから始める三人麻雀 その1」で紹介した、「点数計算」について改めて紹介します。

 三人麻雀では、100点棒は使用せず、

 四人麻雀に比べて点数計算がシンプルで、

 1000⇒2000⇒4000⇒……

 という風に倍々計算をするだけ、

 とは以前紹介した通りですが、


 中には、符計算と呼ばれるプロセスを用いるものがあったり、
 500点棒を使って、500点刻みの点数計算を行うものもあったりします。

 その中でも、今回は、
 「符計算を用いる三人麻雀の点数計算」について、触れたいと思います。

 そもそも、四人麻雀においては符計算は必要不可欠なもので、
 四人麻雀から派生した三人麻雀においても、
 かつては100点棒を用いた点数計算が行われていました。

 が、いつしか1000点が最小単位となり、
 100の位の数字は切り上げられるようになりました。

 それが今でもそのまま受け継がれ、

 例えば、子の3翻30符=3900点4000点
 親の2翻50符=4800点5000点

 というように、符計算を用いた点数計算を、
 いまなお採用しているルールも存在しています。

 特に、昔からあるフリー雀荘などでは、
 符計算を採用していることが多いので、
 注意が必要でしょう。
 (フリー雀荘については、「その7、フリー雀荘のお話」で口述します)


 

その5、ご祝儀のお話


 麻雀の和了に伴うルールのひとつに、「ご祝儀ルール」というものが存在します。
 ここにおける「ご祝儀」とは、「チップ」「心付け」の意味合いで、
 「チップルール」と呼ばれることもあります。

 さて、どのようなルールかといえば、
 「プレイヤーの特別な和了に対して、点棒以外のものを授受する」というもので、
 その歴史をたどれば、バブル期に誕生したインフレルールにほかなりません。

 その「点棒以外のもの」を「ご祝儀」や「チップ」と呼びならわし、
 多くの場合、点棒2000点~6000点分の価値を持ちます。

 チップの移動は、基本的には、その和了の点棒移動の当事者だけで、
 AさんがBさんからロン和了した場合は、B⇒Aにチップが授受され、
 Aさんがツモ和了した場合は、BさんとCさんの両方から、
 Aさんにチップが移動します。

 ご祝儀ルールにおいては、以下の和了に対して、チップの移動が発生します。

一発

 その名の通り、和了に「一発」役が複合している場合に生じるチップ。

裏ドラ

 和了時に裏ドラが乗った場合に、
 その枚数に応じて授受されるチップ。

 つまり、裏ドラが2枚乗って、しかもツモ和了した場合、
 4枚ものチップを手に入れることができるのです。

役満

 役満、という特別な役を和了った場合に発生するチップ。
 (役満については、「その6、役を覚えよう!③」で口述します)

 役満の場合のご祝儀の支払い方についてのみ、ふたつのルールが存在します。

 ①一発・裏ドラと同様に、点棒移動の当事者間のみでチップが授受される
 ②ロン和了・ツモ和了に関わらず、プレイヤー全員からチップが授受される

 役満祝儀は、ルールによって様々ですが、
 15000点~35000点分のご祝儀が一般的とされています。

金ドラ

 三人麻雀においては、五筒と五索がすべて赤ドラの全赤ルールが一般的ですが、
 ルールによっては、「金ドラ」というものが採用されている場合もあります。

 その時、金ドラが手牌にある和了に対して生じるチップのことを指します。

その他
 上記4つのチップ制度に加えて、
 「華牌を4枚集めた場合にご祝儀」
 や
 「特別な牌で和了した場合にご祝儀」
 など、ご祝儀ルールには様々なバリエーションが存在します。
 
 一般に、ご祝儀ルールは運の要素を大きくする一因とされ、
 競技麻雀においては排除されがちです。

 SDA(日本三人打ち麻雀協会)の大会ルールでは、
 チップ1枚=3000点分として、採用されています。


その6、役を覚えよう!③


 
 前回、前々回に続いて、今回も和了において不可欠な、
 手役について紹介していきたいと思います。

 今までの2回で扱ってきた役は、
 いずれも1翻、もしくは2翻でしたが、
 今回は、役の中のチャンピオンともいうべき、
 「役満」について、解説していきます。

 役満は、親ならば48000点、子でも32000点という、
 とてつもない高打点を誇り、
 一度和了るだけで、その半荘は勝ちも同然の点棒を獲得できると同時に、
 さらに、前述したご祝儀も大きいため、
 狙える時には、ガンガン狙っていきましょう。

国士無双

 ■国士無双

 国士無双、といえば、麻雀になじみのない方にも、通りの良い言葉でしょう。
 本来の意味は、中国語で、その国において比肩する者がいないほどに強い者、
 という言葉です。

 麻雀においては、「13種類存在するヤオチュー牌を1種類ずつ集めた形」
 を聴牌形とし、そこに、「任意のヤオチュー牌1枚」
 で和了となります。
 (=四面子一雀頭以外の和了形)

 例えば、

 

 のような聴牌形ならば、どのヤオチュー牌でも和了することができます。
 特に、このような形の国士無双聴牌を、「国士無双十三面待ち」と呼び、
 ダブル役満とするルールも存在します。

 また、

 

 のような聴牌形ももちろんOKで、
 この場合の和了牌は、になります。
 
 ただし、国士無双はその和了形の性質上、
 中張牌を不要とし、ふつうの四面子一雀頭の和了形からは遠ざかります。

 そのうえ、他家から察知されやすいため、諸刃の剣といえるでしょう。

 また、その聴牌形・和了形から、ポンをしての和了は不可能となります。

四暗刻

 ■四暗刻

 四暗刻は、いわば対々和の上級役のようなもので、
 対々和が、「構成面子がすべて刻子」であることに対し、
 こちらは「構成面子がすべて『暗刻』であること。

 すなわち、ポンをした場合には不成立となります。

 例えば、

 

 のような和了が、四暗刻となります。

 また、

 

 のような和了も、また四暗刻です。

 ②のような四暗刻を、特に「四暗刻単騎待ち」と呼び、
 「国士無双十三面待ち」のように、ダブル役満とするルールも存在します。

 ただし、四暗刻の和了における注意がひとつあり、
 ①のような「シャンポン待ち」の際に、

 他家からロン和了した場合

 四暗刻は不成立となってしまいます。

 和了牌によって完成した刻子は「明刻扱い」となってしまい、
 成立役は、「対々和・三暗刻」となってしまうのです。

 ちなみに、①のような四暗刻聴牌形を、
 「ツモスー(=ツモり四暗刻)」と呼びならわしたりもします。

大三元

 ■大三元

 大三元は、「三元牌をすべて刻子」にして和了った際に成立する役満です。

 三元牌とは、の3種類のことで、

 

 のような和了形のこと。

 成立条件は、「三元牌をすべて刻子にすること」なので、ポン可能です。

四喜和

 ■大四喜/小四喜

 大四喜/小四喜(ダイスーシー/ショウスーシー)とは、風牌にまつわる役満で、
 両方まとめて、「四喜和」と呼ぶこともあります。

 ①大四喜は、「風牌をすべて刻子」にした際に成立する役満です。

 風牌とは、の4種類のことで、

 

 のような和了形のこと。

 一方、
 ②小四喜は、「大四喜の風牌の内、1種類の牌が雀頭」の場合に成立する役満です。

 つまり、

 

 のような和了形のこと。

 ともに、大三元と同様に、副露しても成立します。

字一色
 ■字一色

 字一色(ツーイーソー)とは、「手牌がすべて字牌のみで構成されている」場合に成立する役満です。

 例えば、

 

 のような和了形の場合に成立します。

 さらに、

 

 のように、七対子と複合した形でも成立します。
 特に、この場合を、「大七星」と呼ぶこともあります。

緑一色

 ■緑一色

 緑一色は、手牌が「の6種類の牌のみで構成されている」場合に成立する役満です。

 成立条件がすこし変わった役満ですが、
 その名の通り、手牌が「緑色」の牌のみで構成されています。

 

 や、

 

 などのように、
 他の役満よりも、やや自由度の高いのが特徴です。

大車輪
■ 大車輪

 大車輪は、手牌が「①清一色である」
 かつ
 「②七対子である」

 のふたつの条件を満たした場合に成立する役満です。

 つまり、清一色・七対子の複合役で、

 

 のような和了形で成立します。

 大車輪は、かつては「筒子の清一色七対子」のみを指した役でしたが、
 現在では、筒子・索子を問わず成立します。

九蓮宝燈
 ■九蓮宝燈

 九蓮宝燈は、別名天衣無縫とも呼び、役満の中でも最も美しいものと呼ばれています。

 成立のための手牌の形が、国士無双と同様に決まっており、

 

 を聴牌形とし、ここに「任意の同種の数牌」を加えて、和了形となります。

 翻って、

 

 という聴牌形に対して、で和了した際にも、九蓮宝燈は成立します。
 (実際には、が和了牌)

 特に、前者のような形を、「九蓮宝燈九面待ち/純正九蓮宝燈」と呼び、
 ダブル役満とするルールも存在します。

 また、門前限定の役満で、をポンして、同様の和了形になったとしても、
 九蓮宝燈は成立しません。

四カン子
 ■四カン子

 四カン子は、その名の通り、「手牌の中にカン子が4面子存在する」場合に成立する役満です。
 この際の、カン子は、暗カン・明カン・加カンを問わず、
 もちろん、ポンをしていても成立します。

     

 のような和了形の場合成立します。

 役満の中でも、九蓮宝燈を超えて最難関とされ、
 というのも、カンをするためには、
 手牌の中に暗刻がなければならず、(加カンは別として)
 4回カンをするくらいならば、四暗刻を和了る方が簡単だからです。

 ただし、現在主流の三人麻雀では、
 スーカンツに関してのみ、四面子一雀頭の和了形を作らずとも、
 「ひとりで4回カンをした時点」で、スーカンツを成立とする、
 というルールも存在します。

流し役満
■ 流し役満

 流し役満は、ふつうの和了役とは異なり、
 「流局時に成立する」役満です。

 すなわち、各プレイヤーが20枚ないし21枚のツモと打牌を終え、
 それでも誰も和了らなかった時に、はじめて成立するのです。
 この時、流し満貫成立者の手牌は関係ありません。

 その条件は、「①捨牌がすべてヤオチュー牌であること」
 かつ
 「②他家に、ポン/カンされていないこと」
 かつ
 「③自分が、ポン/カン/リーチのいずれもしていないこと」
 の3つを満たすことです。

 ある意味、国士無双とは真逆のプロセスを辿る役満ですが、
 その条件をクリアすることは難しく、

 52枚(13種類×4枚)存在する内の、
 20枚、21枚を自力で引いてこなければならない上に、

 他家に鳴かれても、他家に放銃(=振り込むこと)しても、
 もちろん不成立となってしまいます。

 しかも、他家が意図的に、
 流し役満の成立を阻害することもできるため、
 達成するのは至難のことです。

 余談ではありますが、この役満は、
 四人麻雀においては本来、「流し満貫」といい、
 三人麻雀においても通例的に「流し満貫」と呼ばれています。

天和/地和/人和
 ■天和/地和/人和

 天和/地和/人和は、いずれも、1巡目以内に成立する役満のことで、

 ①天和……親が配牌14枚の時点で和了している(親限定)

 ②地和……子が配牌13枚の時点で聴牌しており、1巡目のツモでツモ和了(子限定)

 ③人和……子が配牌13枚の時点で聴牌しており、
  1巡目のツモを引くまでに、他家からロン和了
(子限定)

 という条件で成立します。

 ただし、いずれも「途中に鳴き、もしくはそれに準ずる行為があった」場合は、
 不成立となります。

 例えば、

 

 という配牌で親がを暗カンして、をツモ和了した場合、
 天和は不成立となり、「ツモ・混一色・一気通貫~」が和了役となります。

 また、

 北抜きドラ、そして北を抜いた際に一発が消えるルールの場合、
 
  

 という手牌からを抜いてをツモ和了しても、
 同様に天和は不成立です。

 地和/人和についても同様で、子の1巡目のツモの前に、
 他家がポン/カンをしていた場合不成立です。


その7、フリー雀荘のお話

 
 一口に「雀荘」と言っても、実はその業務は、

 ①セット業務
 ②フリー業務

 の大きく2パターンに分類できます。

 例えば、あなたがもし友人3人と麻雀を打ちたくなった時、
 雀荘へ足を運んだとします。
 この場合、雀荘があなたに与えるサービスは「セット業務」となります。

 セット業務とは、面子の揃った客たちに対して、
 麻雀卓と牌を丸ごと貸し出して、
 それに対して「時間」で料金を取るサービスのことを呼びます。

 一方、もしもあなたが麻雀を打とうとして、
 しかし面子が集まらなかったとします。
 そんな時に利用するサービスが「フリー業務」です。

 フリー業務とは、ひとりで来た客たちに対して、
 卓と牌、それから客同士のマッチングを用意して、
 それに対して「半荘」で料金を取るサービスのことを呼びます。

 セットで麻雀を打つのは見知った者同士ですから、
 その面子の好みのルールで問題はないですが、
 フリーとなると、事情が変わります。

 フリーでは、トラブルを回避するために、
 店側が厳密に定めらルールに従って、
 麻雀をする必要があります。

 さらに、見知らぬ者同士で麻雀を打つために、
 ルール以上に、マナーにも気を配らなければなりません。

 下に、「セット業務」と「フリー業務」の違いをまとめてみます。

 ●セット

 ①面子の集まった客に対して、「卓と牌を貸し出す」サービス

 ②卓の使用時間に応じて料金が発生

 ③参加者で好きなルールを決められる

 ④仲間内の麻雀なので、基本的に店側はノータッチ

 ●フリー

 ①おひとり様の客に対して、「麻雀を打てる場」を用意するサービス

 ②プレイした半荘数に応じて料金が発生

 ③店側が定めたルールに従う

 ④他人同士の麻雀なので、店側が監督する

 また、フリー麻雀においては、
 「メンバー」がプレイヤーのひとりとして参加することもあります。

 「メンバー」とは、店側の従業員のことで、
 基本的には、セット客やフリー客の身の回りの世話をするのが仕事ですが、

 例えば、フリー客が2人しかおらず、このままでは麻雀ができない。
 そんな時に、メンバーが参加することで、卓を立てることが可能となる訳です。

 「知らない人と麻雀を打つ」「店側がゲームを監督している」
 なんて聞くと、フリー麻雀に対して萎縮してしまう人も多いかもしれませんが、
 それほど身構えることはありません。

 ともすれば、ふだんあなたが雀荘でセット麻雀を打っている、すぐその横で、
 フリー麻雀は行われているのです。
 というのも、多くの雀荘が、
 フリー業務とセット業務を兼業しているのです。

 いままで紹介してきたルールや採用役も、
 多くは、現在関西圏で主流のフリー麻雀のルールを参考にしています。

 フリー麻雀については、「フリー雀荘のすゝめ」にて、
 より詳しく紹介しています。


その8、マナー/作法のお話

 フリー麻雀ではマナーを守りましょう、と前章で書きましたから、
 麻雀を打つ上でのエチケットや作法についても、触れていこうと思います。

 ①壁牌はすこし前へ

 牌を流し込むと自動でシャッフルし、
 しかも積み込みまで行ってくれる便利な全自動雀卓。
 最近では、配牌まで全自動で取ってくれるものまであります。

 ゲームがスタートして、自分の前に壁牌が出現したら、
 その両端を支えながら、すこし前へ押し出してあげましょう。

 これは、対面のプレイヤーが牌を取りやすくするための心遣いです。

 山を動かす際に牌をこぼさないことと、
 前に押し出しすぎて、打牌の邪魔にならないように、
 注意しましょう。

 ②使う手は片手だけ

 麻雀は、手を使って、牌をツモり、そして打牌を繰り返すゲームですが、
 その際に、できるだけ両手は使わないようにしましょう。

 例えば、右手でツモり、左手で打牌する、というような
 作法はマナー違反に当たります。

 配牌を、分かりやすいように並べる(=理牌)時以外は、
 使わない方の手は、卓上に出さないようにしましょう。

 ③発声は大きく、明瞭に

 麻雀をプレイする上で必要な言葉は、
 「ポン・カン・ロン・ツモ・リーチ」の5種類ですが、
 発声の際には、はっきりと全員に聞こえるようにしましょう。

 特に、リーチの時には注意が必要で、
 「リーチの声が小さく、リーチに気付かず、振り込んでしまった」
 などという余計なもめごとの原因になりかねません。

 ④コシとチェック牌

 あなたが手牌の中に、を対子で持っていて、
 そんな時、上家からが切られたとします。

 をポンしたいあなたは、捨てられたと見間違い、
 思わず、反応してしまったとします。

 これを「コシ」と呼び、三人麻雀においては、好ましくない行為のひとつです。
 コシ行為にはペナルティが課せられる場合もあり、特に注意しなければなりません。

 というのも、これは、「シャミセン」という悪質行為を防ぐための対策なのです。
 シャミセンというのは、他のプレイヤーに虚偽の情報を与えるイカサマの一種で、

 例えば、場にが切られ、あなたが反応した場合、
 他家はどのようなことを考えるでしょうか。
 しかし、実際のあなたの手牌には、どころか、もなかったとしたら、
 これは、他家に虚偽の情報を与える悪質行為に違いありません。

 このようなシャミセンを防止するために、
 コシに対してはなんらかのペナルティが設けられている、という訳です。

 また、「チェック牌」とは、なにかの拍子に自分の手牌の一部が他家に見えたとします。
 その牌のことを「見せ牌/チェック牌」と呼び、
 その牌では和了しないのが、マナーであるとされています。

 とはいえ、厳密にルールで定められてでもしない限り、
 チェック牌で和了しても問題はありません。

 ⑤打牌はソフトに、ていねいに!

 牌を川に捨てる際に、卓に叩きつけるようにすることを、
 「強打」といい、
 音はうるさい、卓は揺れる、牌は傷む、で、
 対局者からも店側からも、良い目で見られません。

 牌は、できる限り丁寧に扱いましょう。

 ⑥対局中の私語は控えましょう

 対局中は、麻雀に必要な言葉以外は一切口にしないことが理想です。

 ひとつの理由としては、当然、自分の麻雀に集中ができない、
 ということもありますが、
 あなたの何気ない発言が、他家のプレイに影響を与えたり、
 「ロン」や「ポン」と聞き間違えて、不快な思いをするかもしれません。

 どうしても何か話したい時は、
 局と局の間に、手短に話すのがよいでしょう。

 ⑦セット客とフリー客

 セットとフリーの違いは、前章でも説明した通りですが、
 足繁くフリー麻雀に通っている内に、
 その店の常連客と仲良くなることがあります。

 もはやほとんど友人のようなもの、といえども、
 フリーで知り合った客同士がセットで麻雀を打つのは、
 麻雀業界では暗黙のタブーとされています。

 なぜなら、一般にセット業務とフリー業務では、
 フリー業務の方が時間当たりの収益率が優れており
 フリー客同士がセット麻雀を打ち始めてしまうと、
 店舗としての収益が下がってしまう、という
 店側の思惑が絡んでいるのです。

 いま紹介したマナー/エチケットは、
 主にフリーで重視されるものですが、
 友人たちとセットを囲む時もまた、
 行儀よく麻雀を打つに越したことはありませんから、
 よく覚えておくといいでしょう。


その9、まとめ

 今回は、麻雀のルールのみならず、
 フリー雀荘や、マナー/エチケットなど、
 かなり細かい内容にまで触れてみました。

 ここまで書いた内容をすべてマスターできたあなたは、
 もう立派なひとりの麻雀打ちです。

 友人たちとセットを打つのもよし、
 ときにはフリーへ足を運ぶもよし。

 ぜひとも、麻雀の面白さと奥深さを、
 もっとたくさん感じていただければ、幸いです。

 

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