雀荘メンバーの三人打ち戦術②
雀荘の従業員たるメンバーの仕事は、必ずしも「麻雀を打つこと」ではない。
筆者は、一切の疑問なく、そう断言することができる。
その理由は、「三人打麻雀とメンバー戦術①」で書いた通りであり、端的に言ってしまえば、
メンバーの仕事とは、「卓を回し続ける」ということに集約されているからである。
とはいえ、だからといって本走業務から逃れられないのも、また事実。
であれば、いかにそれを上手く切り抜けるかが、メンバーの腕の見せ所という訳だ。
当記事では、前回に引き続き、本走時におけるメンバーの戦術。
ならび心構えについて、管見の限りではあるが、書き記していく所存である。
4.いつでも客を呼べるようにしよう
雀荘でメンバーとして半年も働いていれば、常連の名前もいよいよ覚え始めることだろう。
そして、できればその客がどんな仕事をしているのか、どの時間帯が暇なのかもあわせて把握しておくといい。
そして何より、いつ連絡を取っても迷惑がられないような、仲の良い関係を構築していれば、なおよい。
というのも、例えば、客がふたりとあなたと三人でフリー卓を立てているが、
今日は麻雀の調子が優れない、というような場合もあるだろう。
そんな時に、仲の良い客に連絡を取って、代わりに麻雀を打ってもらえばいい。
なんだったら、自分の出勤時間にあわせて店に来るように、事前にお願いしてみるのも一手だ。
自分は麻雀を打たなくて済むし、それでいてフリーも支障なく回り続けるのだから、一石二鳥だ。
が、この方法にはふたつの難点がある。
ひとつは、あなたにお呼ばれして来てくれた客が負けてしまった時。
なんのケアもフォローもなしでは、せっかくの関係にヒビが入りかねない。
もうひとつは、その客の懐事情が疲弊してしまうこと。
あなたが仮に週五日の出勤だったとして、毎日毎日呼びつけていては、
その客の麻雀の腕前云々は別として、ゲーム代だけですっかり干からびてしまう。
これを解決するためには、同様の関係の客を、何人か確保しておくことだ。
そうしておけば、ひとりの客に断られたとしても、別の客に声を掛けることができる。
5.客からは恐れられろ!
ここでいうと「恐れられる」とは、なにも高圧的な接客態度を取って、相手を委縮させろ、という訳ではない。
強打に引きヅモ、遅延行為など、マナ悪行為で、対局相手からの顰蹙を買え、という訳でもない。
実際の麻雀のプレイングで、対局者から苦手意識を持ってもらう、ということだ。
それはちょっとしたことでいい。
例えば、「この人のリーチは怖いな」というようなことが頭をよぎるのは、誰しも覚えのあることだろう。
もしも対局者が、あなたのリーチに必要以上に気おくれしてくれるのであれば、
それはこの上なく貴重な財産だ。
すこし考えてみればすぐに分かることだろう。
あなたの愚形聴牌即リーに対して、突っ張ってくることなく、すごすごとベタオリしたり、あるいは回し打ちしてくれる相手の、どれだけ楽なことか!
反対に、あなたのことを侮り、リーチに対して全ツッパしてくる客相手には、実に手を焼くものだ。
それからまた、相手が自分のことをリスペクトしてくれている利点は、なにも麻雀のプレイングばかりに影響を及ぼすものではない。
モロ掛けリーチに対して変な難癖を付けられることもなければ、不合理な和了を咎められるようなこともなくなるだろう。
ではどのようにすれば、客から恐れられるメンバーになるのか。
それについては、次回以降の記事で、述べていこうと思う。
6.牌の扱いは丁寧に!
あなたがいかに腕達者の猛者であっても、牌の扱いが粗暴であればいただけない。
ぽろぽろ山を崩したり、手牌を見せてしまったり、
麻雀への影響こそ軽微ではあるものの、対局者は存外に気にしているものだ。
メンバーというのは、いわばフリー卓が立たない場合にのみ麻雀を打つ、黒子のようなものであって、
そんな立場の人間が、場をかき乱すような行為は慎むべきだ。
今でこそほとんど見ないが、昔は「着順の変わらない和了制限」をメンバーに課す店舗すらあった。
また、丁寧な打牌を心掛けることは、客と良い関係性を作ることも手伝っていて、
麻雀の強さ以上に、粗暴な所作の人間とはやはり付き合い難いものを感じてしまうだろう。
麻雀中の、特に注意したい動作は以下の3つ
- 強打
- ツモ動作
- テンポ
強打は言わずもがなのことで、対局者を威嚇する行為として、すべてのプレイヤーに対して禁じている店舗もある。
まったくするな、という訳ではないが、せめてリーチ者に無筋を通す打牌時くらいにしておこう。
もちろん、しないにこしたことはない。
強打は音がうるさい以上に、山を崩したり、河を散らかしたりする原因にもなる。
ツモ動作というのは、山から牌をツモってくる際の動きのことで、
例えば、大きく振りかぶったり、余計なモーションが入っていたり、牌を絞ったり、などが挙げられる。
いずれもわずかな所作であるが、一種の遅延行為に違いない。
さらに盲牌にはことさら気を遣うべきだ。
盲牌は、確かにゲームスピードの向上を助けてくれるが、
リーチ中のコシ行為などの原因になる。
テンポよく麻雀を打つ、というと多くの人が、
牌をツモってから打牌するまでの時間のことを気にしがちだが、必ずしもそういう訳ではない。
例えば、和了発声から点数申告までの時間や、局と局の間の時間。
それに、打牌速度についても、速ければ速いほど優れている、という訳ではなく、
ツモから打牌までの動作が一定のリズムでさえあれば、よほど気にならないものだ。
まずはこの大きな3つのことについて気を付ければ、同卓者を不快にさせることはないだろう。
以上、今回はほとんど実戦に関係のないことを書いたが、
卓外戦術も、戦術に違いない。
そしてなにより、雀荘のメンバーとは接客業なのだから、
客とのコミュニケーションを円滑に保つことは、なによりも優先されるべきだろう。