
雀荘メンバーの三人打ち戦術① 
 ふだんからフリー雀荘に通う皆様方が、いざ卓について麻雀を打つ、という時に考えるのは、
 もちろん、いかに「麻雀を楽しむか」に違いない。
 さもなければ、雀荘に足を運び、ゲーム代を払ってまで麻雀を打とうという気にはならないだろう。
 そして次に考えるのは、やはりいかに「麻雀で勝つか」に違いない。
 一番の前提は、麻雀を楽しむことだが、負けるよりかは勝つ方がいいに決まってる。
そういう訳だから、雀荘のお客様たちの麻雀を打つ際のポリシーは、「楽しむこと・勝つこと」の二点だ。
 一方、雀荘で勤務するメンバーはといえば、必ずしもそうとは限らない。
 なぜなら彼らは、自らの意思で麻雀を打っている訳ではないのだから。
それに、メンバーという職務を考えてみれば、いかに楽しむか、いかに勝つかというポリシーは、実に相反している。
 店内のセット客への対応などを考えれば、本来はメンバーは本走しない方がいいのだが、
 卓を立てるためには、どうしても卓につかねばならない時がある。
ではそのようなシチュエーションになった時、メンバーが持つべき心構えとはどのようなものだろうか。
 ひとつは、いかに「負けないか」だろう。
 なにせ本走中の負け額は、自身の給料に直結する。
 風速0.5の卓ですら、二、三時間の本走で、その日の給料全額が吹っ飛ぶ可能性すら孕んでいる。
 そしてもうひとつは、いかに「卓を回し続けるか」だろう。
 雀荘の業務形態を考えれば、フリーはいつまでも立ち続けるに越したことはない。
 ひとりの客が早々に財布の中身を空にして、卓がバテるようでは、いただけない。
 しかし、これらふたつのことは決して相いれない。
 というのも、メンバーはフリーが一半荘終わるごとに、自らもゲーム代を一部負担しているのだから、
 フリーが伸びれば伸びるほど、一定額の給料を店に支払い続けている形になる。
 一部店舗には、ゲームバックというものが手当されているが、
 それでもやはり給料の一部がゲーム代として差っ引かれているのには変わりはない。
 果たして、これらふたつの矛盾を抱えながら、メンバーはどのように麻雀を打つのが望ましいのだろうか。
 この記事では、その戦術、方法論について模索していく次第である。
1.トばないこと
 これは一般のフリー客の戦術についても言えるのだが、現行の三人打ちフリー雀荘のルール下では、
 「トビ」は絶対に回避しなければならない。
 多くの雀荘で、「トビ」は特別な祝儀が発生に、10000点分だったり、20000点分だったりする。
 ドボンしてしまうだけで、素点とウマオカに加えて、余分な出費がかさんでしまう。
 例えば、南二局やオーラス時点で、トップを獲るのがほとんど不可能な場面も多々ある。
 そんな時に、むやみやたらに役アリ聴牌をリーチするのは、ドボンの危険性を上げているだけに過ぎない。
 もしもあなたが、麻雀の収支に不安を抱えているのなら、まずは20半荘ほど打った時のドボンの数を数えてみるといい。
 それが5回、6回とあるのなら、まずはそれを20半荘あたり1,2回に抑えるだけで、
 50000点分以上の給料が、財布に残ることになる。
 特に三人打ち麻雀はトビやすいルールになっているのは言うまでもないが、
 だからこそ、いかにトビを回避するかが肝要なのだ。
2.トップ率4割を目指せ
 三人打ちは3人でプレイするゲームであるから、
 一切の実力差を考慮せずに、純粋な確率だけでトップ率を図るなら、ひとりあたり3割3分3厘となる。
 とはいえ、それでは毎半荘ごとにゲーム代が引かれていくことを考えれば、すべてのプレイヤーは必ずマイナス収支となる。
 そういう訳だから、トップ率が4割あれば収支はわずかにでも黒字をキープできるのだが、
 なにを当たり前のことを、と思うかもしれない。
しかし、この「4割」というのが案外キモで、「5割」を目指せ、ということではない。
たしかに、5割あればより収支は大きくなり、給料が増えることに繋がるのだが、同時に危うさを伴うことになる。
 例えば、あなたが9半荘のゲームをこなし、すでにトップを4回取っているとしよう。
 そして迎えた10半荘目、南二局西家。あなたは点棒的に劣勢で、かといって、トップを目指せない訳ではない。
 しかしそのために、この局で倍満以上をツモるか、デバサイ跳満直撃の必要がある。
 客としての身分で麻雀を打っているのであれば、収益増大のために、ここで無理をして倍満手作りをするのもやぶさかではないが、
 それは当然、点棒劣勢の中、親へ立ち向かっていくということで、ドボンの危険性を高めていることになる。
 ここでちょっと落ち着いて、「トップを獲れなくていい」という思考を働かせてみるのだ。
 この半荘、仮にトップを逃したとしても、ドボンのような大きな支払いさえしなければ、あなたの収支はプラスなのだ。
 無理にトップを獲りにいって、親のカウンターパンチを食らってトんでしまうくらいなら、
 トップの目はなくなるが、安全運転を心掛けるのも、ひとつの手立てだ。
3.メンタルはいつも平静に
 世界的なトランプゲームであるテキサス・ホールデムには、「ティルト」という言葉がある。
 これは、「精神が正常な状態でないこと」を指し、翻って、「正常な思考ができていない状態」のことを指す。
 まぁ、要するに「アツくなっている」状態のことだ。
どのポーカーの教科書を見ても、必ず言及されているほどの言葉で、つまりそれほど重要な要素なのだ。
 そして、どの教科書にも、同じような文句が連ねられていて、それは、
 「アツくならないように気を付けろ。そして、アツくなったら、ゲームを止めることだ」
 というシンプルなふたつの忠言からなる。
 技術と運の複合ゲームである麻雀においても、まったく同じことが言える。
 ひとたび集中力が欠けてしまえば、打牌選択が雑になり、そしてそれがミスを呼ぶ。
 さらにミスがミスを誘発し、容易には抜け出せないティルトのスパイラルに取り込まれる羽目になる。
 客の身分であれば、自分がそういう状態に陥った時、すぐにラス半コールをかければいい。
 が、そうもいかないのがメンバーというものであり、明らかに自身の集中力の欠如を感じていながらも、
 いやいやながらに麻雀を打ち続けねばならない時もある。
 これを避けるためには、何度も繰り返すようだが、やはりひとつは「トバない」ことだ。
 ただでさえトップを獲れなかった以上に、ドボンしてしまうことは、余分なストレスとなる。
 以上が、ひとまずメンバーとして麻雀を打つ上で、心掛けたい項目だ。
 メンバーと客とでは、同じ麻雀を打つ以上、大まかな戦術は変わらない。
 しかし、メンバーとして望ましい思考法を、常に身につけておくべきだろう。
 
 






