三人打ちと仕掛け
麻雀において、鳴き/仕掛けというのは重要な戦術のひとつだ。
鳴かねば進まない手牌もあるし、
二枚目の役牌など、鳴かねばその局中は決して刻子になることはない。
特に四人麻雀においては、上家の切った牌に対してのみ有効な、チーもあることで、
鳴きの実力というものは露骨に出ることが多い。
一方、三人麻雀では、鳴きはポンとカンの二種類しかなく、
カンもポンの一部とみなせば、もはや一種類しかない。
しかし、一枚の牌を鳴くか鳴かないかで、
天国から地獄に突き落とされるのも、三人麻雀の特徴だ。
副露すれば、しない時に比べて放銃率が高くなりがち、というのは当然の話で、
なぜなら手牌が短くなって、
相手のリーチなどに対して打てる牌の種類が限定されてしまうからだ。
二度鳴けば、ほとんど手牌は半分になってしまう。
三人麻雀の場合、副露時の防御力の低下は、四人麻雀のそれの比ではない。
というのも、そもそも、牌の種類が少ない(136枚→108枚)から、
放銃率も高くなる、という訳だ。
役牌が出たから、手牌はバラバラだけどとりあえず鳴いておこうは、御法度だ。
鳴いて2シャンテンの形から、親からリーチでも打たれようものなら、
残り10枚の手牌で、親のリーチをかわし続けなければならないのだから。
役牌を鳴く時は、ポンテン、
もしくはせめて好形の1シャンテンになるようにしたいところだ。
また、役牌を鳴くことのデメリットは、防御面だけでなく攻撃面についても言える。
三人麻雀の花形は、なんといってもリーチだ。
裏ドラが乗りやすく、牌の枚数が少ないため一発やツモも多いゆえに、
リーチは四人麻雀に比べて強烈な威力を誇る。
鳴くということは、すなわちそのリーチを放棄するということであって、
他家に、自分の手は安いとアピールしているようなものといってもいい。
しかも、防御力が低下しているということに付け込まれて、
本来なら手替わり十分の愚形を曲げられて、
挙句それに放銃してしまったとなったら、目も当てられない。
では三人麻雀において、鳴きを使う場面、
特に役牌を鳴くのはどのような場面がふさわしいのか。
①役牌を鳴いても十分な打点が確保できている場合
最低でも満貫、跳満あればなおよい。
せめてそのくらいの打点がなければ、リーチを放棄するうまみはない。
特に、混一色が絡む形であれば言うことなし。
副露者の河の色が寄っていれば、
他家も迂闊に突っ込んでくることをためらうはずだ。
②役牌を鳴いて、好形の聴牌となる場合
この時、トップ条件が絡んでいない限り、打点は特に気にする必要はない。
麻雀において、やはり難しいのは、1シャンテンから聴牌に至ることで、
そこをショートカットできるのは非常に大きなアドバンテージといえる。
反対に、どのような時は鳴くべきではないか。
①鳴いて1シャンテン未満の形の場合
特に、鳴いてなお愚形が残るという形は、あまりオススメしない。
あくまで鳴きは自ツモを補うというイメージで使うべきで、
愚形を払うために鳴いているのに、
それでもなお愚形が残ってしまう形はよろしくない。
②他家のリーチがかかっている場合
他家のリーチが入っている場合、むざむざと防御力を下げに行くべきではない。
仮にポンテンであっても、
相手が親なら控えるべきだし、愚形聴牌なら、子とも分が悪い。
そもそもとして、役牌が出たからといって、すぐに一鳴きする必要はなく、
確率的に1/3で自力でツモってこれる訳だし、
なにより、場に一枚切れた字牌というのは、比較的に安全な牌といえるだろう。
また、仮に二枚目が出たからといって、
これもまた果たして本当に鳴くべきかどうかは疑問だろう。
二枚切れの後でも、役牌対子は少なくとも、雀頭として活用できる上に、
他家のリーチに対して、絶対的な安牌にもなりえる。
三人麻雀は、焦ってシャンテン数を縮める必要はなく、
どっしりと構えていても、意外と手が伸びていくものだ。
とはいえ、必ずしも愚形・低打点で仕掛けてはならない、
という訳でもない。
例えば、親が1,2度連荘している状況なんかでは、
リスクは承知の上で、
バラバラの手からでも和了を目指さねばならない場面もある。
むしろ早かろう安かろうで、
もうひとりの子からの打ち込みも期待できるような仕掛けが望ましい。